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一日遅れのバレンタイン 

2009/02/15
Sun. 18:58

こんばんは。

取りあえず時間がないので、SSだけでも何とかUP。
来週にでも拍手レスさせて下さい!(いつも本当に有り難うございます!!拍手も有り難うです!!)



『一日遅れのバレンタイン』
タイトルの為にわざと15日にUPしてます。(今日、時間全然ないのに…汗)
一日遅れのバレンタイン



「ほらっ」
突然ぶっきらぼうに、目の前につき出されたコンビニ袋。
「はい?」
ハテナ顔でそれを受け取り、中を覗く。
そして思わず息を呑んだ。
「忍…、これって…」
「…欲しかったんだろ?」
「あっ…、う、うん」
金縛りにあった様に、全ての動きが止まったままの俺。
不透明なビニール袋。
その中に、板チョコが一枚、鎮座。
そして目の前には、視線をそらしたままの麗しの君。
端正なその顔は、心無しか赤い様に見えて。
思わずにやけてしまう。
だって、その顔は反則だろ?
「…忍。バレンタインは昨日だぜ?」
意地の悪い俺の言葉に、即座に逸らしていた視線を戻して、力一杯俺を睨みつけるお前。
ああ、だからもう。やべえって、その顔。
「…もとより、そんなつもりはない。男同士でバレンタインなんて……」
「でも、くれるんだ?」
「……っ!!」
「ん?」
次の瞬間、もの凄い勢いで手元のビニール袋が取り上げられた。
「あっ!ちょっと!!」
やりすぎた。
だって、お前が余りにも可愛すぎるから。
それと、嬉しすぎたから。
「ーー光流。いらないんだったら、誰か他の奴にやってもいいんだぞ?」
静かな怒り。
…怖い。
「い、いるに決まってんだろ!待ちに待った本命チョコなのに!」
「だったら、要らない事を言うな」
「ごめんなさい…」
でも、怒りながらも返してくれるチョコ。
ああ、こんな所がまたいいんだよな。
どんどん調子に乗ってしまう。
だから、お前が悪いんだからな?
俺にこんな事を言わせるのはお前なんだからな?
「忍。お前さあ。チョコ買う為に、思い悩んでたとか?」
「そんな訳ないだろう」
「ふーん」
じゃあなんで、そんな顔する訳?
お前らしくもなく、焦った様なそんな顔をさ。
「じゃあさあ。もしかして、本当は昨日買おうとしてくれた? でも勇気がなくて、出来なかった。とか?」
「…っ!!」
「ビンゴ?」
「!!」
そしてもう一度、さっきみたいにチョコを取り返そうと忍の腕が伸びてくる。
甘いよ忍?
俺に同じ攻撃が通用すると思ってんのか?

伸ばされたその腕を俺はさっと掴んで、力一杯引き寄せた。
そして抱きしめた身体。
その瞬間、ふわりと香った忍の匂い。それが俺の幸福力を、更に高めてしまう。
「貴様!!」
「ごめんてば、忍」
「離せ!!」
「だから、嬉しすぎて、はしゃいじゃったんだよ」
「いいから、離せ!!」
幸せで堪らない俺とは対照的に、怒り心頭の忍は腕の中で暴れ狂う。
それを力だけで何とか制御する。
手を抜けば逃げてしまうだろうから、一切の手が抜けない。
ああ。今すっげえ可愛い顔で怒ってんだろうな…。
その顔見てえな…。
なんてちょっと思っては見るが、正直言って余裕がない。
『しようがない』と俺は最後の手段を使う事にした。
「ーー大好きだよ忍。有り難う」
「……っ」
耳元でそっと囁けば、僅かに震える身体。
途端に、抵抗していた力がそっと抜ける。
やがて押し黙る口元。乱れた吐息だけが俺の首元をくすぐる。
思わず俺の顔には、笑みが浮かんでしまう。

ーー全く。好きで好きで。堪らない

普段の生活では、絶対見せないその素直な所とか。
それ以上に、俺にしか見せない様々な感情とか。
上げればきりがない。

思い返せば、俺が忍に『チョコをくれ』と言ったのは何週間も前の話だ。
あの時忍は、呆れ顔で俺の話を聞いていて。更には「くだらない」と何度も言われた。
それを目の当たりにして、俺は当然貰えないと諦めていた。
正直な所、さっき忍も言った様に『男同士でバレンタインもないだろう』と、この俺でさえもそう思っていた。
でも実際は違っていたんだ。
忍は、俺の何気無いそんな一言を、アイツなりに受け止めて…。
天下の手塚忍が14日のバレンタインデーに、どうしようかと思い悩んでいたなんて。
俺の事を考えて、ぐるぐる思い悩んで。
でも結局、勇気がなくて14日に買えなくて。
それで一度は諦めて、でも『1日遅れでも』と思い直してくれて。
そして、ばか正直にチョコだけをこうして買って来てくれて。
『そんなつもりはない』なんて憎まれ口を聞いて。
そんなつもりじゃないなら、一体どんなつもりなんだよ?

想像するだけで、楽しくて堪らない。
思いだすだけで、幸せすぎて、どうしていいのか分からない。
嬉しすぎて。愛しすぎて。どうにかなってしまいそうだ。
これを静める手立てなんて、もう一つしか思いつかない。

だって腕の中に居るのは、間違いなく俺だけの手塚忍なんだから。

「俺、これでやっとチョコ食える。昨日から食いたかったんだよね」
「…よく言う。こんなに貰っておいて」
目の前には、開けた形跡がある山の様に積まれたチョコ達。
「確かに中は見たけど。まだどれにも口付けてねえもん」
「……えっ?」
「俺、一つも食べてねえよ?つーか食べるつもりもないし」
そう。本気中の本気の相手と、やっと想いが通じ合った今年。
俺が決めた事が一つある。

『本命以外のチョコは口にしない事』

「本気か?」
「本気中の本気。当然だろ?」
だってどんな想いも。どんな美味いチョコも。たとえどんな魅力的な子だって。
腕の中に居るこの存在には、まるで歯が立たない。太刀打ちなんて出来ないんだから。

「…じゃあ、どうする気なんだ。この大量のチョコは」
「まあ流石に捨てる訳にはいかないから。憐れな奴等に恵んでやろうかな?」
「嫌味に取られなければいいがな」
「まあ大丈夫だろ?あいつら単純だし」
一応、俺はフェミニストだと自称してる。
だからじゃないけど、取りあえず目だけは通した。
山の様なチョコと手紙の束達。
それを一つ一つ箱を開けながら。一通一通、封書を開けながら。目を通し続けて。
その時、思っていた事。それはただ一つだけ。
『ごめんな。答えてやれなくて、ごめんな』

そしてその思いの先にある、忍の存在を思い出して…。
その後は、すっげえ幸せ気分になって…。

ーー俺、フェミニスト自称するの止めた方がいいかも知れない。


「誰よりも菓子が好きなくせに。全くご苦労な事だ」
「可愛くねえなあ」
「正論を言ったまでだ」
「さいですか。…でもな」
「なんだ?」
ふと眺めれば、見つめ返す瞳。
なあ。知ってるか、忍?
お前のそんな些細な動きだけで、俺の心臓は破れそうで。
「光流?」
お前にそう呼ばれるだけで、心が壊れてしまいそうで。
「どうした?」
そうして微笑むだけで、愛しさが溢れてしまいそうになるんだ。
お前って、本当に凄いな。
だからもう離せねえよ。
「いや…。チョコはこれがあれば十分だって…言いたくて、な?」
右手首にかけたビニール袋を、忍に見せ付ける様に掲げ、更にはその手を忍の顔の前に持って行く。
「それと、これ…」
親指でゆっくりなぞる色付いた唇。
「安上がりだな」
「そうか? これ以上の高級なチョコはないと思うけど…」

そのままそっと顔を近付ける。
触れた瞬間、唇に当たる吐息。やわらかな質感。
更にもっとと、探る舌先。
途端に、例えようのない程の甘さが広がる。

ーーやっぱり、最高級のチョコは違う…。



チョコレート。
それには、食べ出したらやめられない、止められない。まるで麻薬の様な中毒性の様なものがある。

甘そうに見えて実は苦い。苦そうに見えて実は何よりも甘い。
無理矢理触れると溶けてしまう。消えてしまう。

チョコはすごくお前に似ている。

だから俺はお前無しではいられない。
求めずにはいられないんだ。


ーーああ、俺。完全にチョコ中毒だ…。



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