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(遅すぎる)光流先輩、おめでとう強化月間。 

2009/04/27
Mon. 18:08

遅すぎて、今更何言ってるの?
自分自身を疑いますが、光流先輩おめでとう月間です!(このサイトだけは)
でもあと4日しかない!!

とにもかくにも、ss更新します。

ただ書きたかったのは『何かを貰う光流』だったのに…。
何でいつもこんなに暗いんだろう。

私的、一番萌えるみつしのが『両思いなのに、お互いだけは片思い』な二人ですので…。(端から見たら『もういいからくっついちゃえよ』的な二人)
関係ないですがミチシノの二人は純粋に友情です。(いちゃいちゃと見せかけて友情がいい)
それからハーブクールは、完全なクール片思いが萌えます!(水面下で、ちょこちょこ書いてますが、あまりにも私的過ぎるので…どうだろう?)


↓ ss/cry for the moon ↓
cry for the moon



けして手に入らなくても。
望まずにはいられない。


3限目と4限目の間。休み時間の教室。
うららかな春の日差しが温かい、穏やかな空間。
それに全くそぐわない苦々しい顔をする人物、一人。
「腹減った…」
2限目に体育があった事が、それに拍車をかけているのだろう。今まさに光流の腹減り具合は最高潮に達していた。
「腹減りすぎて、マジで死にそう……」
長い手足、まさに日本人離れしたスタイル。そして街を歩けば誰もが振り返る、この整った容姿。
誰も彼もがうらやむ端正な顔、均整の取れた身体。
しかし食に対する欲求を素直に体現するこの身は、顕著に飢餓感を告げる。
そんな身体をもった事が、今は正直言って恨めしくて堪らない。
「限界だ。何か食い物……」
この飢餓感を払拭させるべく、光流はいつもの様に購買部へと買い食いを決意する。
「金欠だけど。仕方ねえ」
躊躇いがちに溜め息一つ、そっとその場に零す。
よろよろと教室扉を力ない足取りで潜れば、突然爽やかなそよ風が廊下窓から吹き込んで来た。
まるでそれに誘われる様に窓際へと歩み寄れば、そこには晴れ渡る春の風景が映し出されている。
吹き抜ける春の風。
心地良い、穏やかな気候。
青い空、白い雲。
薄暗い教室で、真面目に授業を受けているのが勿体無い空模様。
「あの雲、美味そうだな…」
「ーー情けない奴だな。お前は」
と、誰よりも聞き覚えのあるその声が、突然背後で響いた。
「ん!?」
光流は驚いて即座に振り返る。
「全く…。お前には情緒の欠片もないのか?」
「忍…」
そこには腕を組み、分かりやすい程の呆れ顔をした忍が立っていた。
その手には教科書一式と筆記用具が握られている。どうやら教室移動をしているらしい。
「…て、何だよ?」
バツの悪そうな光流のその問いかけに、忍は盛大な溜め息をつく。
「朝、あれだけ食べたのに…。まさかこれから、買い食いでもしようっていうのか?」
「うっ!!」
全てお見通しのその一言に、光流は思わず言葉に詰まる。
「う、うるせー! 体育の所為で、さっき全部消化しちまったんだよ! 成長期なんだよ!」
「最悪の燃費の悪さだな。お前の身体は」
「やかましい!」
光流はいつもの様にポーズだけの怒りを見せる。
するとそれに呼応する様に、目の前の端正な顔は綺麗な微笑みをそっと浮かべた。

ーーうわっ…。

今の今まで、ただ空腹感だけに苦しめられていた光流のこの身体は、その顔を見た途端、違う痛みと苦しみを齎していた。

それは、先程とは比べようもない欲求。
途轍もない飢餓感。

身体中に広がる、甘い痛み。
高鳴る、鼓動。
上昇し続ける、熱。
止まらない、欲望。

「……」
無意識に力を込めて握りしめてしまう拳。

気を抜けば目の前の存在に、この腕を伸ばしてしまいそうで。
そしてそのまま、抱きしめてしまいそうでーー。

「……忍。お前、教室移動か?」
「物理だ」
「ふーん」

何気ない会話と態度を必死に装う。
心の中は必死に逃げ続けながら。もがきながら。

「物理って言えば、今度のテスト範囲広すぎねえ?」
「そうか? 普段からあんなものだろ?」

捕われない様に。
何とかそれから、逃げ続ける。
目を逸らし続けて。
心を騙し続けて。

「まあ、お前には範囲なんて関係ないわな」
「そうでもないぞ。俺も物理はあまり得意じゃない」

欲望に捕まらない様に。
叶う事のない想いにこれ以上、どうか捕われない様にと。
「そうなのか?」
「俺にだって不得意なものくらいあるさ」

それ以上に、愚かな俺にお前が捕まらない様にと。
心の底から願う。

しかし、けして叶って欲しくはないその願い。

「そう…、でも…」
「何だ?」

それでも、お前だけは傷つけたくない。
その顔を曇らせたくない。
悩ませたくない。
穢したくない。

だけどーー。

「ーー心底望んで、それが『手に入らない』なんて、お前には無いだろ?」

俺にその力があれば、きっと手に入るのに。
絶対手に入れるのに。

「きっと、お前なら何だって…。それこそ望めば、誰だって……」

この手に出来たら。
きっと。
逃がさない。
永遠にはなさない。

そう、忍。お前を。
お前だけをーー。

「お前、何言ってるんだ?」
忍の疑問を孕んだその声に、光流はハッと我に帰る。
そっと見つめれば、かち合う視線。揺れる瞳。
何もかも見抜かれてしまいそうな忍のその瞳に、光流は一瞬息を飲んだ。
「ーーっ、ははは。いや、なんでもねえんだ! 何言ってんだ俺ってば…。もうさあ、腹減り過ぎちゃって? 何かわけ分かんなくて…」
光流は戯けて早口で捲し立てる。
当然の事ながら、目の前のその顔は何か言いたげで。更には訝しげに見つめている。
光流は居たたまれなくなり、逃れる様にそっと視線を逸らした。
瞬間、忍の身体が僅かに揺れる。
「……」
「……」
黙り込む二人。
重い沈黙。
お互いがお互いを探り合う時が瞬時に流れる。
そして。
「……光流、これから購買に行くのか?」
「えっ?…ああ、うん」
「あと1時間で昼飯だぞ?」
「もたねえんだよ」
やがて、何事もなかった空気が流れ始める。
しかしほんの僅かばかりの違和感が、どうしても拭い切れない。
それでも両者示し合わせた様に、そこから目を逸らして会話を紡ぐ。
それは逃げ合っている様で。
お互い目の前の相手から。目には見えない何かから。
「もうあんまり時間ねえや。それじゃあ…」
光流はその場から逃げる様に立ち去ろうとした。が、2歩3歩その歩みを進めた時、背後から声が響いた。
「仕送り日まであと1週間、か…」
「うっ!」
うめき声と共に、光流の歩みは止まる。
そして降参した様にゆっくりと振り返り見れば、窓際に背中を預けた忍が更に一言零した。
「昨日、金欠だと騒いでた奴とは思えない行動だな?」
「しょうがねえだろ。もう、とっくに…」
「とっくに?」
「だから…。とっくに、限界越えてんだよ…」
光流は呟いて、思わず項垂れた。

そうだ、限界点を越えている。
腹が減って力は出ないし、空腹過ぎて、胃がきりきりと痛んでる様な気もする。
でもそれ以上に、それこそずっと前から越えてしまっているものがある。
それは間違いなく今、光流の目の前で涼しい顔をしている存在の所為だ。

『空腹から冷静さを欠くのは悪い癖だぞ?』

その昔、忍から言われた一言だ。
確かに、冷静さを欠いた今の自分は、これ以上ここにいたら何を口走ってしまうか分からない。
それこそ何をしてしまうか分からない。

好きで好きで堪らない相手が、目の前に居るのだ。
どうやったって、手が届かない最低最悪の片思いの相手。最愛の相手が。
それこそ大切すぎて、手を出す事さえも躊躇う存在。
自分にとって、唯一無二の存在が。

「……っ」
だから逃げ出すのだ。
取り返しのつかない、罪を犯す前に。
たがが外れて、傷つけてしまう前に。

ーーなのに…。お前は何も分かっていない。それどころか気付いてさえいないんだな…。

「……」
黙り込んでしまった光流を見つめながら、忍は窓際からその身をゆっくりと起こした。
「本当に仕方がない奴だな」
そっと溜め息一つ零し、忍は光流へと歩む。更にはジャケットの右ポケットから何かを取り出し、光流の目の前にそれを突き出した。
「ほら」
「…は?」
忍の突然のその行動に、思わず溢れる疑問の声。
差し出されたピンク色をした小さな長方形。
光流の頭の中に?マークが浮かぶ。
しかしそんな事はまるっきりお構いなしと、忍はそのピンク色を光流に半ば無理矢理握らせた。
「だから、やる」
「やるって、何を…?」
言いながら、光流は強引に渡された物をそっと見つめた。
見つめる先、それは自分の右手。
そこには、イチゴ味のフレーバーが一つ。
「これ…」

『うわっー!これ美味そう!!イチゴ味だってよ』
『…甘そうだな』
『イチゴ味だぜ?甘いからいいんじゃんか。マジで美味そう、食いてえ…』
『へー』
『忍、お前甘いの本当に苦手だな』
『別に…』
『甘い物が嫌いなんて、人生の三分の一は損してるぞ?』
『…お前の人生の基準は、一体どうなってるんだ?』

それは先日テレビCMを見ながら、交わした二人の会話。
食べたい食べたいと吠える自分を、忍は『うっとおしい』と言わんばかりにそれを流していた。
それなのに…。

「ーー別にお前の為に買った訳じゃないからな」
光流の思考を先読みした様な事を忍が呟く。

ーーでも、これって…。

「俺が食いたくて買ったんだ」

ーーお前が…?

「兎に角、今日は食う機会なかったから」

ーー本当に?

「しょうがないから恵んでやる」

どう考えてもこれを忍が食べるとは思えない。
甘い物が心底苦手な忍。
それ以上に、どこまでも素直じゃない忍。

故に、思わずにやけてしまいそうになる。
そっと見つめれば、目の前にはバツの悪そうな忍の顔。
ポーカーフェイスが崩れたその顔。

ーー俺だけが知ってるその表情…。

「空腹から冷静さを欠くのは、俺の最大の悪い癖だからな?」
満面の笑顔を光流は忍に向ける。
それを見つめていた忍は一瞬息を飲んだ。それから、まるで眩しい物を見つめる様に目を細めた。

「分かってるなら、それ食って…。早く何とかしろ」
「何とかって、何を?」

もし俺が。忍、お前に本当の事を告げたらどうする?

「物欲しそうな。兎に角、餓えたその顔をだ」
「物欲しそうって…」

お前が好きだって言ったらどうする?

「鬼気迫って。もはや、ヤバい奴だぞ」
「ヤバい奴って…」

やっぱり拒絶するか? それとも激怒する?

「断言しても良い。その顔見られたら、確実にファンが減るな」
「そうか。そりゃあー、まずいな」

それでも俺は、お前の事が好きで好きで堪らない。
お前の事だけは諦めたくない。

「彼女達に夢を見せてやるのも、王子様の務めなんだろ?」
「へいへい。分かっております」

たとえそれがどうやったって手が届かない、『無い物ねだりの恋』だったとしても。

「じゃあ、俺は行くから」
「うん。…あっ! これ、サンキューな」

その場から立ち去ろうとする忍に、光流は眩しい程の笑顔を向けた。
心の底から歓喜した表情。
それを受け止める忍は複雑な顔をした。
「……」
「忍、どうかしたか?」
「ーー…のに」
「えっ、何? 聞こえねえ?」
「…だから、昼までそれで我慢しろよ?」
「あっ、うん。分かってるって!」

光流のその言葉を受けながら、忍は小さく苦笑し、そのままそこから立ち去って行く。
綺麗なその背中を見つめながら、光流はワイシャツの胸元を軽く掴んだ。
「現金な奴だな。本当に俺って…」
さっきまでの『空腹』から来ていたあの苦しみが、今はまるで嘘みたいに綺麗さっぱり消え去っている。
自分の身体ではあるのだが、なんて分かりやすいのだろうか。
思わず笑いが漏れそうになる。

ーーお前は誰よりも近くにいるのに、俺の欲しいものは何よりも遠い

「物欲しそうって…。本当、誰の所為だよ…」

空腹は治まった筈なのに。
感情の飢餓感は治まらない。
餓えて餓えて堪らないこの身体。
欲しくて欲しくて堪らないその心。


「ーーお前が欲しくて堪らないんだよ」


けして届かない声をそっと呟く。
そして、手の中のそれを見つめた。

イチゴのフレーバー。
けして忍が口にしなさそうな、見るからに甘いだろうそれ。
本当は初めから、自分の為に用意してたんじゃないかって、期待してしまいそうになる。

「…たくっ、自惚れるぞ」

遠ざかって行く忍のその背中を見つめながら、光流は手の中のそれをそっと唇に寄せた。


俺のものになれよ…、忍。
手の中の『これ』みたいに、さ。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



管理棟廊下を歩む忍の頭の中に、先程の光流の言葉がこだまする。


ーー望んで手に入らない事なんて、お前には無いだろ?


「お前が言うな」


ーーそうだろ? だって、お前なら、それこそ何だって…、誰だって…


「それはお前の事だろ?」

本当に欲しいものは、俺には手に入れられない。

「どんなに頑張ったって…、俺には無理だ……」

何の力もない、俺には。
何の魅力もない、この俺には。

「光流、お前のその力がこの俺にも。ほんの少しでもあったなら…」

きっとーー。


『ーー…のに』
『えっ、何? 聞こえねえ?』


ーーそう、お前を


『ーー手に入れる…のに』




一番与えたいものは、見せる事も出来ない。
一番言いたい言葉は、けして口に出せない。

お互い逃げ続けて。追いかけるのを躊躇って。
本当の心を見せないで。見ないで。
日々は過ぎて行く。季節は巡って行く。

欲しい物を欲しいと言い出せない二人には、春の暖かな兆しはまだまだ遠い。


  「いつか勇気が出せたら」  「いつか素直になれたら」



その時はきっとお前を。


『手に入れるからーー』



その日まで、『無い物ねだりの恋』は終わらない。



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2017-06

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